今年6月。
「22年前に塗り替えて貰ったFです」と連絡が。
22年前・・・
私は梶川塗装に在籍していませんでしたし、勿論22年分若かったです。
今年89歳になった弊社会長も現役バリバリで働いていました。
勿論、年を経るとともに劣化してしまっている部分もあります
シーリングのクラック
それにしても、当時のあの材料で、ここまで保ってくれるとは・・・
「だから22年ぶりになったんですよ」とFさま。
毎年、年賀状で近況を伝えあっているものの、
これほど嬉しいことはありません。
「暑さが落ち着いた10月ごろに施工しましょう」
そう言っているうちに、あっという間に9月の半ば。
工事に向けて、打ち合わせを行うことになりました。
「今の色が気に入っているから、色は今と同じで」と奥様。
今の色?
はてさて、褪せてしまっている今現在の色のことなのか、
塗った当初の色の事なのか?
因みに現況の壁色はこんな様子です。
同じ色でも日向と日陰では色の見え方が違って見えます。
日陰だと、こんな色映りで
さて、どの色でしょう?
ND-152
赤みがかったベージュ、
実際塗ってみると思ったよりも赤みが前面に出る印象です。
ところが、現況の壁に塗り板を当て、確認してみると
当てはまるのはこの辺りの色になります
奥様に塗り板をご覧いただきながら説明
右端の色が22年前に塗装した当初の色、左端が現況
22年間で、ここまで色が褪せ、薄くなってしまったということ
「全然気付きませんでした」と、奥様
環境的な要因による速度の違いはあるものの
どの色も同じように劣化し、褪せていきます。
少し前に多く見られた濃いグレーなどの濃い色は
色褪せが分かりやすいという1面があります
が、濃い色も薄い色も同じように劣化しているのです。
「長持ちするのはどんな色?」
「汚れが目立ちにくいのはどんな色?」
色の打ち合わせの際に、よく聞かれる質問です。
実際お客様の家を見ていると
色の薄い家だと雨染みや汚れなどが黒く現れ、
色の濃い家では雨染みや汚れが白く出ていました。
となると、
「好きな色を選ばれるのが一番」
そう思うのです。
お客さまにもそのようにお答えしています。
家に愛着を持って貰うことが一番大切かと思います。
「ここ、なんでこんな収まりにしたんやろ?」
「ここを〇〇して置いたら、良かったのにな」
ブツブツブツブツ・・・・・弊社梶川の独り言が止まりません。
些細なことながら、
22年前の自分へのダメ出しが止まらないようです。
当時はようやく一人で現場を任されつつあった頃、
まだ建築士の免許も取っていなかった頃です。
22年の歳月を経て
それだけ先を見越した見方ができるようになったということ、
そうでないと困りますが
この仕様はこれで良かった
ここは、もう少し考える必要があった
ブツブツブツブツ
22年ぶりに自身の仕事への答え合わせをしているようです。
工事は始まったばかり。
Fさま、よろしくお願いいたします。