昨年施工させて頂いたお客様からのご紹介。
早速お伺い。
「古いからなぁ。あちこち傷んどると思うわ」とTさま。
玄関周囲のこの感じがノスタルジック
ライオンのドアノッカーや照明の形、懐かしいでしょう?
長年風雨に晒された木製の玄関ドアは、どうしようかと悩むほど
傷んでしまっていました
築年数を経た家の工事は、いつもどこかにジレンマを抱えます。
足場を組んだからには出来ることは出来る限り、する!
そうは言っても、
出来ることもある反面、やはり出来ないことが出てしまうのです。
構造的に無理なのか、技術的に無理なのか、予算的に無理なのか・・・
理由は様々あれ、どこに着地点を置く?・・・いつも悩むところです。
今回のTさま邸でも、
歪んで途中までしか開かなかったサッシは
相談の結果、「仕方ないね」と、このまま使い続けることになりました。
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工事に着手するまでに、色や工事の詳細を詰めていく打ち合わせ
ご近所への挨拶など行いますが、
もうひとつ、作業があります。
それは、
足場が組めるようにすること
建物周囲の私物の片付けです。
2)高圧洗浄
洗浄のさなかにも、不具合が見つかります。
お客様自身では掃除をすることも、補修をすることも出来ない樋。
洗浄の際にはしっかりと内部を洗浄し、詰まりを取っておくことも大切
縦樋の詰まりを取っているところ
樋受けの針金がほとんどなくなっており、勾配が無くなった上に泥が溜まり
泥の重みで更に勾配が無くなってしまい、その部分に水が停滞し、
泥と水の重みや湿気で最終的に樋が傷んで変形。横に広がってしまっています。
酷い場合には樋の交換を勧める場合もあります
丸印部分の樋受けの針金が無くなってしまった結果、勾配が反対になってしまった部分。
本来矢印の方向に流れる筈が、反対側に水が溜まってしまっています。
大雨が降ると、この部分から水が滝のように流れ落ちているはずです。
太陽が良く当たる南面のベランダでは
本来取り付けてあったはずの樋の接続部分(ジャバラ)が劣化し
取れて無くなってしまっています
一番の悩みどころが玄関戸
塗装をするにも傷んで脆弱になった部分を
取り除かなくてはならないのですが・・・
洗浄で傷んでいる部分がここまで取れてしまいました
このまま塗装をしても表面の凹凸は残ってしまうので、キレイには仕上がりません
さて
このまま流れに沿って下地補修 → 外壁塗装へと
お話を進めようかと思ったのですが
今回は少し趣向を変えて、塗装に付随したちょこっと工事についてお話しようと思います。
それらの不具合をどうしたかというと
1)樋に関する不具合
★樋受け針金は新たに巻きなおし
★勾配が悪くなった挙句、逆勾配になり、水が溜まっていた部分は
針金の巻き具合で勾配調整
★跡形もなくなってしまっていたベランダの樋(ジャバラ)は代替品を取り付け
右側も
★外れてしまっていた樋のジョイント部分は、
以後外れにくくするため固定しなおし
2)玄関戸に関する不具合
傷み具合や素材によっても方法は違いますが
方法としては大まかに3つ(ドア本体の取り換えは別として)
1)塗装
主に木製の玄関戸で塗装をする場合が多いです(アルミ製の場合塗装はお勧めしていません)
木製扉の場合、木目の風合いが埋もれて無くなってしまうのが、残念なところ
塗装後の玄関ドア
2)シートを貼る
仕上がりにこだわりのある方の場合、シートを貼る場合が多いです
※下見の結果、施工不可の場合もございます
木目調のシートや
現在施工中のK様邸でも、シートを貼る予定で話を進めています
実際の施工例としては
施工前
3)塗装 ・・プラスα
今回のTさま邸がこれに該当します
傷み過ぎていて塗装をしてもキレイに仕上がりそうもない場合
家の顔と言っても過言ではない玄関。
外壁がキレイになると、どうしても傷んだままの部分が目を剥いてしまいがち。
築年数を経た家が塗装工事で新築同様になることはまずありません。
どうしても補修の痕は残りますし、どこかしら古さは残るものです。
「古さ」が「風合い」になってくれれば・・そう思います。
目指すは
「古いけど、手をかけて丁寧に暮らしておられるな」
そんな、住まい手の想いが伝わるような仕上がり。
Tさま、ありがとうございました。